世界を知った2年間〜水村紗英

「なぜなのだろう。」留学中私が常に抱いていたのは、この疑問だった。なぜ、国家間の対立はなくならないのだろう。なぜ、民族同士で殺し合いをしなければならないのだろう。なぜ、富める者と貧しい者の間には大きな格差ができてしまうのだろう…。UWCでの生活を通して、私は今まで見ることのなかった現状を知り、疑問を持ったり、悩んだり、憤りを感じたりした。UWCは、私がどのように生きるべきかを熟考する時間を与えてくれたように思う。

UWCに行くまで、私は「自分のことで精一杯」な人生を送ってきた。全てを完璧にこなそうとし、勉強に力を注ぎ、英語力を磨くことに必死だった。UWCの生活を始めた当初も私はまだそんな自分のままであった。英語が分からない、授業についていけないといった問題に直面し、それを打開することで精一杯だったのだ。

しかし、UWCでの生活にも慣れ英語力も安定してくると、今まで目を向けることのなかった様々なことに関心を持つようになった。世界各国から生徒が集まるUWCという小さな国際社会に魅力を感じ、「様々な国ではどのような価値観を持っているのだろう」「日本のことを皆はどう思っているのだろう」ということを知りたいと思うようになった。また、アジア各国に関心を抱き、自分の目で各国の現状を見てみたいと、アジアの国をいくつか旅した。

このような過程の中で、私のたくさんの「なぜ」は生まれた。中国人の親友はドラマをはじめ日本の文化が大好きであったにもかかわらず、同時に日本に対する割り切れない感情を持っているように思えた。インドを旅すると、低所得者の暮らしぶりにショックを受け、旅行者である私に必死に物を売ろうとする少年を痛ましく思った。スリランカで爆破事件が起こったときには、休暇で帰国していた友人の安否に不安を募らせた。文明が発達し人々が行き交うグローバル社会で、なぜこれほどたくさんの問題が残っているのだろう。この疑問は、UWCでの生活を経たからこそ生まれたものだ。

UWCで得ることのできた貴重な経験を単に自分の人生の1ページとして完結させるのではなく、私が見たり感じたりしたことを周囲に伝えることで、私の留学した意義が深まるように感じている。これからも、機会を見つけて諸外国を旅して現状を知りたいと思う。UWCでの生活から持ったこの疑問に対する解答を見つける努力を続けていくことが、UWCが私に与えてくれた課題であると感じている。

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シンガポールカレッジ(2006-2008)