「無理しなくてもいいんだ」 〜鎌田亮子(SC04-06)

期待に胸を膨らませ、家族と友人に見送られ日本を発ったあの日から2年今年2006年5月、私は無事にUWCを卒業した。

私は、小学校低学年の頃、親の仕事の関係で一年間カナダ・バンクーバーの現地校に通い、英語の基礎を学んだ。帰国後もUWCに合格するまで、英語力を維持するために勉強してきた私は、自分の英語力に対するプライドが高く、UWCに行ってもある程度は英語を理解できるだろうと高をくくっていた。しかし現実はそう甘くはなかった。

シンガポールに着いて初日のオリエンテーションで、先生方が言っていることが全く聞き取れない。周りの子は理解しているのだろうかと不安になり、思い切って”Do you understand?”と聞いたところ、”Yes,”と言うではないか。友好を深めるためのゲームに参加したものの、ゲームの趣旨を把握できず、結局一言の発言もないままゲームは終了した。自分が想像していた以上に、自分の英語力の低さを痛感したため、オリエンテーションウィークの1週目はショックが大きかった。

しかし、周りを見渡すと、皆早々と仲のいい子を見つけ、グループを作っているではないか。このままでは友達ができない、と焦った私は手当たり次第に声をかけ、誘われては一緒に外出するという日々が続いた。しかし、外出しても周りの英語についていけないため、調子を合わせ、理解できなくても頷き、皆が笑っているから笑っていた。最終的には自信をつけるどころか、自己嫌悪に陥る始末。

そんな中、イタリア人のルームメイトが私の様子を見かねて、「りょうこ、無理しなくてもいいんじゃない?友達って、無理に作るものじゃないし、気の合う仲間は自然と集まるものだよ。」と言ってくれた時、体力的にも精神的にも無理をしていた自分に気づき、緊張していた身体がフッと楽になった。その後、話をしているうちに彼女と意気投合し、いつの間にか周りにはオランダ、ドイツ、香港、イタリア、アルバニア、エチオピアとどんどん友達が増えていった。

仲のいい友達はできたが、次に問題だったのが勉強だった。英語に対する変なプライドは、現実を目の当たりにして必然的に消えたが、やはり勉強についていけない。毎晩3時までかかって宿題を終わらせるのが精一杯で、勉強しても成績に表れず、毎晩自分の力の無さに悔し泣きしていた。しかし、私が苦しんでいた時に気持ちの支えになってくれたのは、やはり友人たちだった。私の仲のいい友人は皆、英語を第二言語として学んでいたこともあり、私が陥った苦境も理解してくれ、「無理しなくていいんだよ。自分に余裕がなければ、伸びるものも伸びないよ。」と励ましてくれた。冷静になって考えてみると、分からないから勉強するのであって、分からないところがあれば先生に聞けばいいという結論に達した。早速次の日、思い切って各教科の担当の先生方に相談しに行くと快く、「分からなかったら、いつでも聞きにおいで。」と言って下さった。そして授業の後で、理解できなかったことを丁寧に教えて下さった。その時から、時間にも余裕ができたこともあり、成績も上がってきた。

UWC入学当初は、自分に圧力をかけ、自分自身を苦しめていたが、今思えばやっぱりあの時友人のアドバイスを聞き、無理しすぎないでよかったと思う。私は今年の9月からカナダのトロント大学に進学するが、大学生活が始まっても、無理せずに自分のペースでやっていこうと思う。始まる前から余裕を持っているせいか、4年間の大学生活に対して、全くと言っていいほど不安はない。UWCで出会った友人と先生方の言う通りに突き進めば、これからの人生もやっていけそうな気がする。私と同様に、これからもより多くの人がUWCですばらしい友人を作り、貴重な体験をされることを心から願いたい。