ヒルの思い出〜赤藤詩織(MC04−06)

MUWCIで心に刻まれたもの。それは体にも刻まれてしまったヒルの思い出!

日本を離れてまだ間もない1年生の秋のプロジェクトウィーク。環境問題に取り組んでいるNGOの活動に参加させていただくため、5人+先生のグループで北カルナタカの森林地帯に向けて出発した。電車での10時間の後は、ミニバスで3時間。休みなく目的地を目指す。揺れながら、というよりは跳ねながら、バスは森林地帯奥地へとずんずん進んでいく。前の女の子がシートから振り落とされても止まらない。

突然視界から木々が姿を消すと、目の前にテニスコート2面ほどの小さな集落が現れた。NGOは、この村にバイオエネルギーのパイプを通すことを主な活動にしていたのだが、私が勉強になったのは、むしろこの村が昔から実践していた「エコシステム」の方だった。

バイオエネルギーのパイプというのは、「ないものを与える」という開発協力の考えに基づいているが、この村の人々は「あるものを使う」という自足の視点で生活していたように思う。例えば、食事はすべてバナナの皮にのせて並べられ、片付けもその皮をそのままくるくるとまとめ、牛に与えておしまい。お皿も、洗剤も、水もいらない。あるものだけで、エコフレンドリー。MUWCIにいる間は、こういった発想の転換に何度も出会うことになった。

しかし、なんといっても、このプロジェクトウィークを通して最も心に残っているのは、ヒルとの出会いだった。腰まで水につかりながら村の近くの川を下っている間に、こっそり私の足の血を吸って丸々と太っていったヒル達。ふくらはぎにびっしりと張り付いたそれを見たとき、私は痛さを超えた恐怖で声も出なかった。これまでは小さな虫でさえ怖くて触れなかったのに、こんなブヨブヨしたものが私の足にいっぱい張り付いているなんて。

覚悟を決めた。「私にはできる私にはできる」呪文のように頭の中で繰り返しながら、ヒルを手づかみし、次々と足から引きちぎっていった。それからは少しでも水につからず進めるよう、私は木の棒を支点にして石から石へと跳び移りながら、忍者のように川を下っていった。

今思えばあのヒルとの出会いが、それからのインド、そしてUWCでの生活を充実させる通過儀礼だったように思う。

もちろん、ホストファミリーの作ってくれた魚カレーの美味しさもちゃんと心に刻まれている。